積み重ねが大事、の意味

積み重ね?

算数数学, 英語はかさねの分野だと言われます。 ただ、「積み重ね」とは一体何を意味するのでしょう。 これは、漢字をコツコツとたくさん覚えてることが大事、公式をたくさん覚えることが大事、という意味ではありません。 積み重ねが大事であるのは、学校での勉強が、パーツを交換こうかんしたり追加ついかしたりするものだから です。

たとえば英語

例えば英語で考えてみます。2つの文を見てみます。

結局、この2つの文は「誰が - する - 何に対して - どこで - いつ」と並んでいるだけの文だとわかります。 つまり、並び方 (仕組み) は同じで、パーツ(単語) を変えただけとわかります。 びっくりするくらい簡単ですよね?

単語さえ覚えれば、同じ形の文をいくつでも作ることができます。 覚えるのが大変な英単語でも同じ仕組みを持っています。

これらの単語は「使う use」という意味を持つ単語に、いろいろなパーツをつけて意味を広げていることがわかりますね。

たとえば漢字

覚えるという意味では小学生の頃からずっと宿題があるものに漢字があります。 漢字もパーツを組み合わせて意味や音を作ります。

illsut

漢字もパーツでできています。「進」の場合、ふるとり(隹)と、しんにょう(辶)の2つからできているのはすぐわかります。この2つにはそれぞれちゃんと意味があります。 辶は道を進むこと、隹は小鳥です。つまり、この漢字は「とりが前にいくこと」という意味で「進む」です。

更に、この漢字は音についても表しています。隹の基本的な音はスイです。その結果、この部首を持つ漢字には、スイという音に似た漢字が多くなります。

つまり漢字もパーツの組み合わせです。 同じパーツを使っていれば、同じ意味になったり、似たような音になったりするわけです。 英単語と同じですね。

たとえば数学

算数・数学だってもちろんそうです。 算数・数学で積み重ねという時、足し算ができなければ掛け算ができない、引き算ができなければ割り算ができない、というような意味で使うことが多いですが、パーツとして増えていくだけだ、というのはそれ以外でもあちことにあります。

たとえば、小学校で比例を学びます。中学2年生で一次関数を学びます。 この2つほぼ同じですが、少しだけパーツが追加されます。

比例 一次関数
$ y = \dfrac{2}{3}x $ $ y = \dfrac{2}{3}x$ $+ 1$
table2 table3
graph2 graph3

$ y = \dfrac{2}{3}x$ $+ 1$、この +1 の部分が一次関数で追加される部分です。 たったこの一つの数でどう変わるのか、ただそれだけの単元でもあります。 比例が十分にわかっていれば、ごくわずかな追加だとわかります。

※ 実際は追加ではなく、一次関数のうち、特殊 (切片が0) であるものを一次関数と言います。比例は一次関数の一種です。

積み重ねとは楽をするための手段

このように積み重ねは、苦労してするものというよりも、将来確実に楽になるための準備です。 今、その単元を確実におさえておけば、将来の勉強で覚えることはほんの少しになります。 楽をするためにコツコツ積み重ねているのだ、と考えてみるのはどうでしょう。